それは「綿の種を差し上げます」
10年程前、新聞の小さな記事を見つけた事から始まった。
早速申し込んだところ、封筒で種が送られて来た。
その年の春、我が家の小さな畑に種を蒔いた。
芽が出て、スクスク育ち黄色のきれいな花が咲いて、3cmほどの実がついた。
(もちろん無農薬です)それが弾けて割れ白い綿が出てきた。
あまりの見事さに感動した。その中に種がたくさん入っていた。
それから、毎年種をまき、綿が増えていった。歓びもまた増えていった。
偶然知った三河木綿保存会の故 高木先生から、糸車を使い糸を紡ぐ方法を教えて頂いた。
私にも白い糸が出来ることに、又感動した。
楽しかった、夢中で糸を紡いだ。
そして2015年からやっと機織りを始める事が出来た。
保存会の方々が手取り足取りで教えてくださった。
工程はなかなか複雑で難しい。
頭も手も足も思うように動かないが何より楽しい。
自然の木の葉、枝、実を使った草木染の不思議さにも驚かされた。
まだ始まったばかりだが、綿を育て、糸を紡ぎ、染めて機を織る。
これからの私の人生の仕事が見つかった気がする。
・・思いが募り、歌を作ってしまった。・・
1 海を渡って 吹いてくる
子供の頃と 同じ匂い
長い時を かけて
夏の 南風だね
育てた綿が 糸になる
紡いだ糸に 色を染め
今日も始まる 機の音
トンカラカラリン トンカラリン機の音
2 山を越えて 吹いてくる
季節を幾つも さかのぼり
昔々の 人が
くれた 贈り物だね
育てた綿が 糸になる
紡いだ糸に 色を染め
今日も始まる 機の音
トンカラカラリン トンカラリン機の音
3 黒い大地の この色と
木々の緑の あの色は
重なり あって
この手で 縞になる
育てた綿が 糸になる
紡いだ糸に 色を染め
今日も始まる 機の音
トンカラカラリン トンカラリン機の音